4歳と山で暮らした話16 半年戻して、フィリピン

時間を半年戻して 2月 マイナス10度の山の家から東京を経て、30度のフィリピンに着いた。 熱帯気候の植物相ってば、日本(東京)で見て記憶しているものたちより遥かに大きく力が強そうでクラクラする。 * * * 離婚して山の家に行くことを決めたあと、一番近…

4歳と山で暮らした話15 お客さまと百日紅とピザ

会いに行ったり会いにきてくれたり。夏はお客様がたくさんだった。感想「山だね?!」「うん、思った以上に山なんだけど」「あれあっちゃんち?」「ヤマネでるかなあ」山の家での生活はインスタで更新していて、友達ともいつもそれで交流していた。ラインも…

4歳と山で暮らした話14.桃屋とお姫様

少し前、7月の土曜日に友人から「隣県の温泉地にいるからご飯でも食べない?」と14時ごろ言われ「よしきた」と子を乗せて車で山を降りて隣県まで行った。 帰りが遅くなりそうなので思い切って安いホテルをとった思いつきの小旅行。こんなこともしちゃうんだ…

4歳と山で暮らした話13.人生の地図、土と泥と生活音、バスとうどん

8月、友達の展示を見に山から京都までの旅。はじめての一人暮らしは京都だった。自転車を買って、家財道具を買って、社会人3年目の23歳になる歳からの2年間。偶然にも短大でいちばん仲が良かった親友が仕事で自転車で行ける距離に住んでいて、彼女の家に自転…

4歳と山で暮らした話12,5.ヤマネの新居と花火

2、3日東京に帰ってたら靴箱にしまって置いたスニーカーが彼らの家になっていた。 靴箱の上に置いておいた、森で採取した素敵な地衣類をいそいそと運び込んで、ふかふかのベッドにしたみたいだ。 仕方なくそのスニーカーは提供して、他の靴で過ごしている。…

4歳と山で暮らした話11.作ったりあげたりひれ伏したり干したり

6月の中旬、豆板醤を作りに街まで。お味噌作りと同じ料理人のりえさんに教えてもらった。そら豆から豆板醤が作れるなんて知らなかった!終わった後もお茶してお話させてもらって嬉しかった。帰り道、以前から気になっていてインスタをフォローしていた街のか…

4歳と山で暮らした話12.はじめてのお泊まり、地形、特技

山の日記20180802子、なんとはじめてキッズキャンプにひとりで参加した。親元を離れてお泊りするなんてお友達のお家も祖父母のお家も経験が無くて。いきなり二泊三日の旅!ぐじゃぐじゃに泣きながら出発した土曜日の朝から、いつ電話がかかってくるか私の方…

4歳と山で暮らした話⑩新しい家族

山の家日記 20180605ガリガリ、ガサガサ、トテトテトテ…天井裏から壁の間から小さくて軽い生き物の気配がずっとして居て、ヒメネズミだと思っていた。この辺りの家にはよく出るし、この山の家も空いていた時期の方が多いことを考えれば私たちの方が新参者な…

4歳と山で暮らした話⑨涙でクレンズ、あっちゃんの煮物

その朝のドライブで私はよく泣いた。引越してどう?と東京の友人に聞かれたときにまわりに誰もいないからとても静かだよ、と言うと、ええ〜誰も住んでないの?!それって寂しくない?夜とか怖そうだし、とよくいわれた。うーん、夜寝る時は子どもと抱き合っ…

4歳と山で暮らした話⑧拡張するパーソナルスペース、景色に殺される

4月に入って少しした頃から、朝、子どもを登園バスに送り届けたあとにすこしドライブすることが日課になった。スタンレーのマグにコーヒーを準備して、車を走らせる(もちろん安全運転です…)。昔から自分だけの心地いい場所を見つけるのが好きで、小学校の…

4歳と山で暮らした話⑦春、山は笑う

月に一度、保育園への送迎がある。月末の金曜日と次の月曜日は昼寝布団を持ち帰り&持っていかないといけないのだ。町の保育園まで行く途中、結構な山道を通り、そのあと山がひらけていわゆる田園風景になる。そこから見る山がいつもと違った。何というか…ト…

4歳と山で暮らした話⑥事故、トマトジュース、春はこうして

冬はそうして深まって行った。山で生活していくことに慣れて、それに比例して体も寒さに慣れた。マイナス4度以下になると水道が凍るから蛇口にタオルかけて寝よう、とか。0度だと今日は暖かいな、とか。運転にも慣れた。田舎道の運転はまず道が広く、ほとん…

4歳と山で暮らした話⑤東京、凍結祭り、冬の遊び

年末年始は東京の実家に帰った。新宿の伊勢丹に行ったあと美味しいケーキと紅茶を飲むデートをしたりして都会を満喫。たった2か月東京から離れていただけなのに東京ってば、とても新鮮。なんでもすぐ買えて、食べられて、おしゃれで、キラキラしてて…。その…

4歳と山で暮らした話④鹿とりんごとヘクセンハウス

山の家日記抜粋 11月中旬夜の間に雪が降った。地面に白い粒々が落ちていて、これが噂の塩カル(塩素カルシウム、つまり塩、道路が凍結しないように塩を撒くことで雪を溶かす)かしら、と思ったら雪だった。 車を運転していると道路に降った雪が風にのって滑…

4歳と山で暮らした話③昭和のレジャー産業、リアルRPG

昭和のレジャー産業で開拓された山につくられた別荘地。そのはずれにある山の家の周りは、夏だけ来るリタイア組のひとたちしか住んでおらず、冬が来るか来ないかのうちにみんな帰ってしまう。 11月、私たちが越して来たときには周りにはもう誰もいなかった。…

4歳と山で暮らした話②教習所と離婚とお守りの絵

よし私は山の家に娘と住むんだ、と決めてヘルメットをかぶったままラーメンを食べた翌日、掃除の続きと戸締りをして迎えにきてくれたレンタサイクル屋さんのバンで駅まで送ってもらい、夫と子どものいる家に帰った。帰りの電車で免許を取るのにかかる期間と…

4歳と山で暮らした話①2017年の昭和の日に笑いながら自転車に乗る

「やばい!日が暮れちゃう!!!日が暮れちゃうよ!!!」結婚して四年目の2017年。4/29、昭和の日に私はひとり山道で笑いながら必死でマウンテンバイクを漕いでいた。夫と子どもと3人で来るはずだった山の家にひとりで来た。祖父母が使っていた山の中にある…