4歳と山で暮らした話⑩新しい家族
山の家日記
20180605
ガリガリ、ガサガサ、トテトテトテ…
天井裏から壁の間から小さくて軽い生き物の気配がずっとして居て、ヒメネズミだと思っていた。
この辺りの家にはよく出るし、この山の家も空いていた時期の方が多いことを考えれば私たちの方が新参者なので
「こっちに出てこないようにしてもらって上手いことお互い生きていこう…😌」
と適当に思っていた。
実際、屋根裏につながる押入れの屋根板以外は侵入経路が見当たらず、そこはしっかり閉じてるので大丈夫だろうと思っていたのだけど
夜中にどう考えても同じ部屋の隅でガサガサ聞こえる…😇😇😇😇😇
しばらく様子を見ていたけれど、子のおもちゃがあるゾーンの方に行きそうな音がしたので焦って、
「ちょっと!そこにいるでしょう」
と、パッとライトで照らした。
ヒメネズミじゃなかった。
背中に黒いスジがある。
しっぽがふとい。
…ヤマネ?
*
森の守り神とも言われるヤマネ。天然記念物。
ヤマネ(Glirulus japonicus)は、哺乳綱齧歯目ヤマネ科ヤマネ属に分類される齧歯類。現生種では本種のみでヤマネ属を構成する。別名ニホンヤマネ。
引用:Wikipedia
なんと、天然記念物だから捕まえられない。
うわー、とりもち仕掛けなくて本当に良かった。しかし…どうしたらいいんだ…?!
インスタにこんなことがあって、と様子を載せていたら友達に
「ヤマネは珍獣。出逢えるなんて貴重な体験、ぜひ共存してほしい、遊びに行く、ヤマネの本も渡す」
と熱くレスをもらう。そう言われたらなんとなくポジティブに考えられるようになってきて共存してみるか…という気分になってきた。
いや、でもどうやって?
📚
調べたらヤマネってめっちゃのんびり屋さんなのである。
冬眠中丸まって眠るが、たとえ木から落っこっても起きないぐらい熟睡しているがために、そこを天敵のキツネなどに狙われて個体数が減ったとの報告もあるとか🦊🍴
現在は環境省のレッドデータブックからも除外になり、一定数の個体はいるみたいだけれど。
そのうち、Twitterでヤマネについて造詣が深い方から色々教えていただく(世の中には本当にいろんなことに情熱を傾けてる方がいる)。
共存を目指すにあたり注意事項を教えていただいた。
1.トイレや浴槽、シンクなどに水を飲みに来て水没する可能性があるため(!)、蓋をしめる、水をぬくなどを徹底して気をつける
2.ゴミ箱も落ちて這い上がれない可能性があり(!)危険。ゴミ箱は蓋つきのものを。
…ヤマネのどんくさささに親近感を持たざるを得ない!
なんて思ってたらそれを実感する出来事があった。
(その頃の日記、ヤマネ とあっちゃんのことばっかり書いてあって楽しい)
山の日記
20180606
ヤマネってこんなのんびりしてるんだ…
そりゃ個体数減るよ…
ご飯作ってたら「ママ!なんか昨日の子がいた!」と子ども。
夜行性だから起き出した?
それにしては少し早いのでは?
と思って辺りを探したら、壁の上の方で寝ている?ヤマネを発見。
お…???壁につかまって寝ているの…?
と!起きたのか、急に動いて壁から落ちかけた。ので手を出したらすかさず手に移って来てしまった!!!
ひゃ!どうしよう!
天然記念物だから触ってもいけないのだけど…背に腹は変えられず。どうしよう、何か箱を、とオロオロしてるうちに手のひらで寝るヤマネ。
嘘でしょ〜…!!!
がっしり手を掴んでスウスウ寝るヤマネ。
カゴになんとか入ってもらうよう促すも入らず、そのまま10分ぐらい。
至る所でいろんな格好で寝るヤマネ。
やっとカゴに入った、と思ったらタカタカと歩いてどこかに。
もはや捕まえられない、最低限しか家の中で放し飼いみたいな感じにしかできないんだけど…
気づいたらコンロの上の方でかべにつかまって目をつぶってる(寝てる?)のを見つけて慌てて起こして火元から離し、また部屋に放って、子どもに「ちょっと見てて!」と声をかけた。
「ママー、どっかいっちゃったあ」
「そっか、まあ巣にでも帰ったのかもね〜」
なんていってたら
「マッママっママっ😭なんかっなんかいるっかみのけっなんかっ😭😭😭」
とほとんど半狂乱頭の後ろ側を手で払いながら子どもがいうので、あわてて見にいくと子供の髪の毛にヤマネがつかまっていた。
そうっと毛から外して、部屋に放った。
まあ…もうすこし…様子…見よっかな…
つづく